アシナガバチの魅力

アシナガバチ

日常生活の中でも見かけることが多いハチの種類の一つが、アシナガバチと呼ばれるハチです。このアシナガバチは、怖いだけではなく、とても多くの魅力があるのが特徴です。
それでは、そんなアシナガバチの魅力について、解説していきたいと思います。

アシナガバチの生態

春から秋にかけて活動する

アシナガバチの活動は、一年の中で春から秋にかけてとなります。

5月頃に女王蜂が巣作りを始め、6月頃になると働き蜂が生まれ始めます。そして徐々に個体数が増えるとともに、巣の大きさも拡大されていくのです。そして、夏から秋にかけてが活動のピークになり、個体数もかなり多くなっています。

そして寒くなるに連れて、その活動を徐々に少なくしていきます。最終的には、新しい女王蜂が越冬をするために別の場所へ移動し、作られた巣にはハチが居なくなります。

蜜ではなく他の虫を食べる肉食

アシナガバチの食事は、主に他の虫です。そのため、肉食の虫に分類されます。ハチというと、ミツバチのように花の蜜を集めてそれを食料にするイメージがありますが、アシナガバチの場合はそうではありません。

虫の中でも、蛾や蝶の幼虫を好んで食べる傾向があります。ただ、それを直接食べるのではなく、分解して肉団子の形状にして巣に持ち帰ることが多いです。

また、肉食と言ってみても、スズメバチのようにそれほど獰猛な性格をしているわけではありません。ですので、人間に対して牙を剥くことは稀です。襲ってくるとすれば、巣に近づきすぎたり、あからさまな攻撃をしかけたりした場合でしょう。

アシナガバチが持つ毒について

強力な毒を持っている

アシナガバチは温和なハチです。しかし、性格は温和であったとしても、攻撃をするための毒針を所持しています。

アシナガバチの毒針から出る毒は、かなり強力であることが知られています。スズメバチの毒までは至りませんが、それに匹敵する程の威力を持ちます。そのため、刺されてしまったら命に関わる症状を来すケースも珍しくありません。

温和と思いつつ、牙を剥くと強い毒針を出すのは、スズメバチにも劣らないアシナガバチの魅力かもしれません。

アレルギー反応を引き起こす

アシナガバチの毒によって体に異常を来すのは、その毒の成分によって体がアレルギー反応を引き起こすことが原因です。

詳しくはこちらの記事へ→スズメバチの対処・安全な駆除方法

アレルギー反応を引き起こす主要成分としては、アシナガバチの場合、ハチ毒キニンやマストパラン、ホスホリパーゼA、ヒアルロニターゼなどがあります。これらの成分は、体の中に注入されると、痛みや腫れを始め、様々な症状を引き起こします。

この成分によって、急激なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックが起こることがあります。

アシナガバチの巣について

蓮の実がぶら下がるような形状

アシナガバチの巣は、独特な形状をしています。一言で答えると、蓮の実がそのままぶら下がっているような形です。その中にはハチの巣の特徴であるハニカム構造があり、それがむき出しになっている状態です。

スズメバチの巣は、球体状に囲われていますし、ミツバチであればハニカムが剥き出しで囲いがありません。それに比べると、アシナガバチはちょうど中間的な巣の形状をしていると言えます。

スズメバチの種類の中にも、アシナガバチと似た巣を作る種類は居ます。ですが、このタイプの巣を見かけると、多くはアシナガバチのものであると判断して良いです。

樹皮と唾液から作られる

同じハチと言っても、その巣の作り方や素材はまちまちです。アシナガバチもまた、他のハチとは違った素材でその巣を作ります。

スズメバチの場合、主な巣の素材として枯れ木などの繊維が用いられています。それと比較すると、アシナガバチは木の皮を主な材料としており、さらに自分の唾液を使って作ることが特徴的です。

なお、唾液にはタンパク質が含まれることから、強度の高い巣を作っていることも特筆すべき点でしょう。
このため、簡易的な作りに見えても、アシナガバチの巣は意外と頑丈であり、ちょっとしたダメージでは壊れません。

まとめ

普段何気なく見ているアシナガバチも、それを深く知ることによって、新たな魅力や知らなかった素晴らしさに気づいていただけたのではないでしょうか。
これからアシナガバチに対して、以前よりも魅力を感じて見ていただければありがたいです。