奥が深い:ミツバチの社会性・特性

蜂イラスト

私たちに蜂蜜を届けてくれる種類のハチであるミツバチ。このミツバチは、その生態において、社会性のある機能的なグループ構造を形成しています。これはとても奥が深く、そして素晴らしいものです。
そんな奥が深いミツバチの社会性や、それに関連した特性について、解説していきたいと思います。

ミツバチ社会の特徴

仕事の役割分担が行われている

ミツバチはそれぞれが気ままに動いているように見えて、実は明確な仕事の役割分担がなされています。その役割分担として、大きなくくりであるのが、女王蜂と雄バチ、そして働き蜂です。
働き蜂は、その名の通り、蜜を運んだり巣を作ったり様々な仕事を行います。

この働き蜂は、巣に居るハチの大凡90%です。そして生殖行為をする雄バチが10パーセントであり、同じく生殖行為をする女王蜂が巣の中で1匹という割合です。
このような仕事の役割分担が、ミツバチの社会の中では行われています。

働きバチはメスばかり

人間的なイメージからすると、働き蜂は雄であるイメージがあるかもしれません。しかし、ハチの世界においてはそのイメージとは真逆で、すべての働き蜂がメスばかりなのです。

なぜ雌ばかりが働き蜂としての役割が与えられているのかというと、雄バチは女王蜂との生殖行為のみを行っているからです。ですので、ハチの社会は雌が支えていると言っても過言ではありません。

また、雄バチは生殖行為を行わなかったとしても、働き蜂の手伝いをすることはありません。あくまでも、自分の役割を行うだけというのも、ハチ社会の特徴でしょう。

詳しくはこちらの記事へ→ミツバチの巣と生態

ミツバチのダンス

コミュニケーションとしてダンスをする

動物や虫が、お互いにコミュニケーションをとる上で、体を使って意思疎通を図ろうとすることをミツバチのダンスと呼びます。そしてこれは、実際にミツバチがダンスをするようにコミュニケーションを行うことが由来となっています。

ミツバチは蜜を採集できる新しい花が見つかると、それを仲間に伝えようとします。その際に、巣に戻り、8の字を書くようにして体を動かすのです。これがダンスのように見えることから、ミツバチのダンスという名前がつけられました。

この行為によって、仲間と花の場所の情報を共有し、効率よく花の蜜の採集ができるようになっています。

正確に目的物の座標を示している

このミツバチのダンスは、一見するとただ単にハチが規則的に動いているだけにしか見えません。

詳しくはこちらの記事へ→ ミツバチの巣と生態

そのため、それほど重要なコミュニケーションではないと思う方も多いはずです。しかし、その動きには、かなり詳細な情報が詰め込まれています。

このダンスでは、太陽の方向を基準として、8の字を書くように動き回ります。よく観察するとこの8の字の中心線となる部分で、小刻みにお尻を震わせていることがわかります。

実はお尻を振って歩く方向が、新しい花のある場所、そしてお尻を震わせる速度が花までの距離を示しています。これによって、正確に目的の花までの座標を示し、仲間たちに情報伝達をすることが可能になっているのです。

社会性がもたらすメリット

集団として子孫を残すことを目的にできる

社会性のあるハチは、集団で動くことにより様々なメリットを得ています。その一つとして考えられるのが、集団として子孫を残すことを目的にできるという点です。

各個体が生殖を行う能力を持つのであれば、働き蜂の役割(ワーカー)が不在になります。そうなると、巣作りや食料の確保なども各個体が行わなければなりません。しかし、働き蜂は生殖行為をせずに女王蜂のために働くことによって、集団として子孫を残すことができます。

女王蜂しか生殖能力を持たない点では、非効率的です。しかし、集団としてそれを支えるシステムができているため、子孫を残す可能性を高く維持できていると言えるでしょう。

明確な役割分担が高い効率を生む

人間の社会では、助け合いが大切であると言われています。しかし、ハチの社会においては、明確な役割分担がなされているため、雄バチは働き蜂の手伝いをしません。女王蜂もそうです。
これは一見すると無情に見えるかもしれません。

ですが、役割を明確にすることによって、高い効率を生んでいるとも見受けられます。雄バチが働き蜂を手伝うと、効率の良い生殖行為ができません。女王蜂においても然りです。

このような役割分担がしっかりと行われていることによって、社会性を維持し、そして子孫を残すという目的をしっかりと遂行できるようになっているのです。

まとめ

ハチの社会は、私たちが思っている以上に社会性が高いです。これは人間社会も顔負けの社会性だと言っても過言ではありません。
このような社会性の点に、ミツバチの魅力、そして強さがあるのです。