ミツバチと花と大量死

ミツバチと花

ミツバチと花は、密接な関係にあります。そのため、ミツバチの存在が花を生かし、そして花の存在がミツバチを生かしています。
このミツバチと花の関係、そしてその関係が引き起こす大量死のことについて深く掘り下げて紹介したいと思います。

ミツバチは花を生かす「ポリネーター」という存在

多くの花は受粉をミツバチに依存している

花が新しい命を残すためには、受粉をしなければなりません。しかし、自然の花は受粉を自分ですることはできないため、花粉の媒介者を必要とするのです。その媒介者として働いているのが、ミツバチになります。

ミツバチは花の受粉を仲介する役割を果たす「ポリネーター」と呼ばれ、花を生かす欠かせない存在となっています。

花はミツバチに蜜と花粉を与えることで、ミツバチに花粉を運んで貰っています。そのため、多くの花は受粉をミツバチに依存していると言えます。

花粉はミツバチにとっての栄養源

ミツバチがポリネーターとして働いてくれる背景には、ミツバチの食事が大きく関係しています。

花が与える蜜だけによって、ミツバチは栄養を得ていると思ってしまいがちですが、実は花粉そのものもミツバチにとっては重要な栄養源となっています。これは、花粉の中に多くのタンパク質が含まれているためです。

このような理由から、ミツバチは蜜だけでなく、花粉も積極的に収集することがあります。この点も、ミツバチが有力なポリネーターである理由です。

農薬が引き起こした?ミツバチの大量死の謎

ネオニコチノイド系農薬によってハチに異常が起こった

人体にそれほど大きな影響は無いと言われる農薬。しかし、昆虫類にとっては、様々な異常を来す可能性があります。それはハチにとっても例外ではありません。そして農薬がミツバチの大量死に繋がったというケースがあります。

ミツバチの大量死に関係していると考えられている農薬であるのが、ネオニコチノイド系農薬です。この農薬は、その使いやすさから、多くの農家で使われています。

ですが、ネオニコチノイド系農薬の影響を受けたミツバチは、方向感覚を失います。そして巣に帰ることができずに、その多くが死んでしまうのです。

日本国内でも大量死は起こっている

農薬が原因となって起こるミツバチの大量死は、海外だけの問題ではありません。そう、日本国内でもこの異常なミツバチの大量死は発生しています。

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その背景には、やはりネオニコチノイド系農薬の存在があります。

日本においても、ネオニコチノイド系農薬は多く使われています。そのため、その農薬を使っている農作物の近くにいるミツバチは、農薬からの悪影響を多く受けます。
このような点から、農薬によって起こるミツバチの大量死は、とても身近な問題であると言えるでしょう。

ミツバチの生態系を守ることはとても大切

人間の食料が消えてしまう

ミツバチの生態系が崩壊してしまうと、人類にとっても大きな損害を引き起こします。ですので、ミツバチの生態系を守ることはとても大切だと言えるでしょう。その損害の一つとして挙げられるのが、人間の食料が消えてしまうことです。

私たちが普段から口にしている農作物の多くは、ミツバチが受粉を行ってくれることで繁殖を行っているものが多いです。そのため、ミツバチの生態系が崩れると、最悪の場合、それらの植物が繁殖できずに人間の食料も消えてしまいます。

自分達の食料を守る上でも、ミツバチの生態系は維持し続ける必要があるのです。もしもミツバチが全滅してしまうと、大規模な飢饉が発生すると考えられます。

詳しくはこちらの記事へ→奥が深い:ミツバチの社会性・特性

衣類も無くなることが考えられる

ミツバチが受粉の手伝いをしているのは、食物となる農作物だけではなく、衣料品として使用される植物も含まれます。その代表例が綿です。

みなさんもご存知のように、私たちが普段から身につけて衣類には綿が多く使われています。その綿が無くなってしまうと、衣類を作るための素材が無くなるので、衣類そのものも消えることになります。

綿以外の衣類を作る素材は存在していますが、綿が不足した分を他の繊維で補うとなると難しいでしょう。

衣類と食事、人間が生きる上で欠かせないこの二つを、ミツバチが支えてくれています。だからこそ、ミツバチの生態系を守らなければなりません。

まとめ

ミツバチは花の生命と密接に関係しているだけではなく、私たちの生活にも大きな影響を持っている存在であることがわかりました。だからこそ、ミツバチは種の保存というだけではなく、人類のためにも生態系を守る必要があります。

ミツバチの生態系を守るためには、農薬など、ミツバチにとって影響力のある要素を改善するなど、人類全体でミツバチが過ごしやすい環境づくりを行うことが大切です。